全日本MTB選手権 2020 観戦記 [MTB観戦]
全日本MTB選手権 観戦記
全日本はやっぱ気持ちが盛り上がる。
ので終わった後の余韻に浸りたい気持ちというか脱力感も大きかった。とくに、シーズン終盤と重なったこともあったと思うが、それぞれの感動がずいぶん過去の事のように感じる。
2020。COVID19でメタメタになった。吉無田がなくなり、菖蒲谷も朽木も耐えきれず、五輪も飛んで、夏までの撮影予定が真っ白になった時は、このまま全日本も行われないのではないか、と思った。さらに第一波が終息して出来るかもという機運になった時に世界選手権がもともとの全日本(田沢湖)の日程にかぶってきた。そこから急遽日程ずらしての開催。主催者の尽力には感謝しかない。
今年の全日本の見所は、やっぱり山本幸平だったな。
私が2012年にJシリーズを初観戦したときには既に5連覇を達成する絶対王者。それから一回お休みしての6連覇x2の12個目の日本一だった。BSの二人が直前のゆぶね参戦をパスして全日本に照準を定めて来たがスッキリ切り捨ててしまった。国内でどんな速い奴が出てきても寄せ付けないどころか、自分自身との戦いをしているような走りで圧倒的に勝つ。それがまた目の前で繰り返された。
ずっとずっと日本の第一人者だった。その幸平が大会前からオリンピックで第一線から退く宣言をしていた。2012年9連覇を達成した片山梨絵さんの最終公式戦白馬と同様に、すげぇという気持ちとさびしいという気持ちの混在する大会になった。
梨絵さんの引退の年に始めたんだから、幸平の引退の年に……っていうのもちょっと考えたしねw
じゃ、時系列に備忘録。
土曜のDH観戦から。今年はDHの公式戦が全日本のみとなり、別シリーズもほとんど開催されなかったので此処でしか撮れない人が多かった。なので、いつもより入念に、もともと雨予報で変わりやすい山の天候に合わせて様々なパターンを用意していた。なのに、寝坊……というか風呂で二度寝&寝過ごし。今回の最大の忘れ物は、もの では無くて起きる こと だった。すみません。
現地について、試走時間がいつもよりも短めなことを知り、なんと、ゴール前のゲレンデで数名撮るのみ。結局コースの下見はまったくできなかった。ただ、でっかいジャンプが今回はないと聞き、下で撮ろうと決める。この富士見はコース沿いに上がっていくことができず、出会い頭撮影だと途中5-10分程度の藪漕ぎ登りがデフォになるので、レースが始まってからだとなかなか上には上がれないのだ。逆に上で撮り始めての全員撮りでは下に降りてこられない。
予選はゲレンデエリア撮影。1/2,000以上で芝がタイヤに巻き上げられるのを収めたり、真横から1/30で流したり、にしようと思ったのに、寝坊で申し訳ない気持ちで浮き足だってしまい、最初の数人を撮ったのみで気がついたらいつの間にやら森の中。どうしても上で撮りたい気持ちに負けてしまったらしい。
でも、日差しがあるからと有効枚数増やそうと思って18-300mmのレンズを付けていたのに、こいつは暗い森の中に不向きなレンズ。だから入っちゃダメだった。しかも、森の中には重鎮チックなカメラマンがずらり勢揃い。腕もレンズもダメだと絵もダメになるのは分かりきっていたのに、そこで芝エリアに撤退できないところが、負のループ。めためたな絵を量産してしまいました。あああぁ。
さらに、一推しライダーの太田匠が、エリートからアドバンスに鞍替えしているのを現地で知るのも心をポキッ。追い打ちをかけるように、カメラのAFが彼の時に限って最初から最後までピントを外しまくってくれる。負の連鎖。涙ちょちょぎれる。
予選決勝間に思っていた以上に空き時間が有ったので、上に移動。そこで新しいくねくね区間を発見し、枚数を稼ぐことにする。が、負の連鎖は切れなかった。一番構図の良いところでライダーの手前に枝が張っていたのだ。気がついてはいたが細くてAFに影響ないと思っていた。だが、後で釣果を見たらほとんどその5mmもない細い枝にピントを持って行かれていた。涙は涸れ果てた。
ってな感じで、土曜のDHはその場から立ち去りたい気持ちと、宿屋でボツだらけになる写真を整理しながら、全てを投げ出してしまいたい気持ちを必死で堪える撮影となりました。はぁ〜。やはり、私は完璧な準備を志してはいけないようだ(はい。その結論が間違っていることも知っています)。
レースはMen Elite
女子は
2日目。
前日は思いの外暑くて栃木車連支給のオレンジウインドブレーカーを脱いだら、オレンジじゃないとNG出されまくり。よって翌日は、中で調節してオレンジブレーカーを脱がないことにした。実はこのオレンジも色調に制約があって、色が薄いのを着ると黄色にしたんですかと言われる(PAXさんプレゼントオレンジTシャツで実証済)。イメージカラーって大切なものなのだなとひしひしと感じております。はい。
当日、朝からいろいろな人が、BSが……って話し掛けてくる。次から次へと。まあ、その時はよく分からなかったけれど、そういうゴシップ系の話しをするのは私が適任という事なのだろう。のちにその噂話を目の前で確認することになるのだが、ま、これは現地に居た人の特権でもあるので、何があったのかについてここでは多くは語らない(写真を見てください)ことにする。
ただ、私はこの件に関しては肯定派です。ルールの中で出来ることは何でもやる、の彼ら選択肢の一つにそれが入っていたのだし、既存概念に縛られて何もやらずにやっぱダメだったか、にしてしまっては次に繋がらないと思うのですよ。ま、あれが好きかと言われると、ヨランダがなかなか勝ててなかったのでちょっとなぁです。遠目には分かりづらいという意味で選択されたのかも知れないしね。この件は以上w
前座レース。全日本で併催されるCoupe du Japonのアドバンスとチャレンジ。(とはいいながら、表彰台ルールは全日本だったらしいw)
アドバンスは、毎回昇格候補に挙がりながら足踏みする石川正道が波に乗れずに沈み、橋本嶺登、宮崎陸のマッチレースとなった。
周に何度もトップを入れ替える展開で進み、ラストの林間下りの入り口では陸が前だったが、出口では嶺登が五秒以上離して前に。最後の激坂でぐーーーっと差がが縮まるもそのままゴールとなった。前座レースとしてはなかなか面白かったね。これで、BBQは男女エリートを抱えるチームになったわけだ。ちゃんと昇格しましょう。
チャレンジは、土田拓幸が優勝。
カイザー神谷知明がきっちりレースをまとめて昇格を決めていた。
チャリダー猪野学も健闘を見せていたと思う。
ジャンプは飛べていたし、ドロップもしっかりこなしていて初のXCOとは思えないしっかりとした走りを披露していた。結果云々より彼がどんな風に公共放送の電波にXCOの面白さを載せてくれるのかに興味津々でございます。
そして、前座が終わって全日本。
男子ジュニアとユースが同時走。それを男子マスターズが時差走で追いかける。見所がいっぱい詰まったレース。とはいえ、4分差走のためマスターズのスタートを撮るとジュニアの先頭が一体何処までいっちゃうの……で、結果的に見ると逆走で一回トップを捕まえて全員撮りをしてから順走気味に大岩でしめるべきだったなと後で反省する。なかなかトップを捉えられない撮影となってしまった。
まずは、ジュニア。高本亮太を一推ししたが、スピードスケートとの二足のわらじをはいた松本一成が引っ張る展開。スケートをはく季節になって身体と気持ちにスイッチが入ったのか、それとも全日本の空気の所為なのか、今シーズンどこか集中力を欠くような走りは影を潜め、強い一成がゴールまで走りきる。
2位には高本亮太。
来年はエリートでやり合う二人楽しみ楽しみ。
そして、ユースの柚木伸元がジュニアと同時走の同一周回で3位の位置で完走、もちろんユースでは優勝だった。まだまだ伸びる年代、GPライダーのお父様同様世界を相手にする日は近い?
2位には2年目高橋翔が伸元の次の座を決めて次世代をになう。
その後ろは僅差。誰が飛び抜けるのか。来年以降に期待。
マスターズは、山本和弘が力強くマスターズオーバーオールで優勝。キャラ的にオーラを纏う人なのでXCO全体の普及にもっと力を注いで欲しいと傍目に思う。
2位にはワールドマスターズを目標に突き進む岡本紘幸。3位にはマスターズを2度制覇した品川真寛。4位にはシクロでは超有名、2013八幡浜Elite 5位の島田真琴。そして5位にはその島田とCXでバチバチやり合う齋藤朋寛が40代トップで続き、6位には、年代クラスが50に上がった竹谷賢二が入った。
この中の常連組は岡本紘幸と品川真寛のみ。これも全日本マスターズ特有の風景である。年に1度でもいいから、あの人とかあの人とか、日本のトップを競った人はいつまでもかっこいいんだよなぁって見せ続けて欲しいのは私だけだろうか。
三十代は上記3人に加えて、たぬきがドラゴンに勝った。
四十代は、巨人斎藤に続き、朽木の走りが悔しかったのかシーズン後半一気に調子をあげてきた吉元健太郎、そして、今年からマスターズの畦地利哉がしっかり登壇。
五十代は、ドクター竹谷に続いて、前回ゆぶねでは敗れた酒居良和がライバル有持真人を下した。
六十代は、今シーズンXCO全戦出走の橋本寛二がライバル奥村憲央を接近戦で下して来シーズンナショナルチャンピオンジャージを着る権利を手に入れた。
女子
はクラスを超えた女の戦い。エリート今井美穂 vs U23川口うらら vs ユース渡部春雅。ミポリンは五輪選手という看板背負ってクラスは違っても日本一は譲れないプレッシャーがバリバリに掛かっている。うららはCJタイトルという日本一の看板を獲り、深坂で跳ね返された借りを返したいし、学生ロードで逃がした春雅を前に出したくない。春雅は類い希なる身体能力を見せつけて二人を押さえてトップでゴールするのを目論んでいた(はず)。
結果、ミポリンが、別クラスながら同時スタート同一周回でがちの戦いになったうららを10秒差で下す。深坂でも同じような流れだったが、トップが順位を入れ替えながら争うレースはやはり手に汗握るよね。
エリートはミポリン優勝、ガチレースは最後になる?末政実緒が2位、そして橋口陽子が3個目の全日本銅メダルを獲得した。
U23はうららが優勝。エリートと合わせてもうららに次いで3位となった矢吹優夏が2位に入る。山田夕貴は惜しくもDNF
ジュニアは、走力は折り紙付きながら細かいテクで勝負をさせてもらえなかった渡部春雅が全体4位の位置でゴール。幼少期から世間をあっと言わせる活躍を見せてきたスーパーアスリートが今後どの道を選ぶのか。どの道を選ぶにしても日本の壁はそれほど高くなくても世界の壁はかなり高い。適性をみてその道でたんまり稼いで成功して欲しいなと思う。それと浜田大明神を手玉に取るキャラを作らないとww
ユースは今シーズンの活躍をそのまま繋いで日吉愛華が日本一をゲットした。
とりは男子エリートとU23
幸平はやっぱり絶対王者でございました。
身体も仕上げてきているし、そして、レースでのトラブルもなかった。勝つべくして勝つべき人が勝った。毎年毎年同じ事を言っている気がするが、勝つために一番努力してきた人なのだと思う。
全日本やアジア選手権などの大舞台では必ずと言って良いほど日本人2位の位置にいる平野星矢。これで五回目の全日本銀獲得になる。シーズンのピークをピンポイントに合わせる能力にかけてはたぶん抜きんでているのだろうが、相手が悪かったとしか言いようがない。
そして、今シーズン復活した沢田時。BSの看板背負って勝利を貪欲に狙っていたが、今一歩歯車が噛み合わなかった。
幸平、星矢、トキ。ま、順当と言えば順当なんだよね。
この大会でXCOのガチライダーから退く判断をした中原義貴は7位。最後の激坂を一気に踏んでいく姿は常勝だった頃の彼を彷彿とさせた。背中を見ている次世代の選手達にこれからも力強く踏み抜く姿を見せ続けて欲しいなと思う。
DHエリートライダーの永田隼也と黒沢大介がエリートを走ったのも特記事項。隼也は-1 Lapの31位。大介は-2 Lapsの36 位。例年のエリート残留ラインを余裕でクリアする走りを見せた。DH ライダーは登る走力がないからXCを走らないんじゃないんだな。XCからも行ってみますか?
U23は走りに不安定さがなくなってきた北林力が2分差走で前を走るエリートを食い散らかして、エリート4位のお遼の後ろにまで迫って見せた。ペース的には幸平と同等の16.8km/h。2位の村上功太郎、3位の山口創平に5分差をつけての快勝だった。たられば無しだが、U23の区分けがなければ、唯一幸平にプレッシャーをかける走りが出来ていたのかもしれない。
会場を去る車の中で思ったこと。
パリに向けて。幸平が一線を退いた後のそれぞれのチーム体制。そして、統括団体がパリ出場枠獲得に向けてどう動くのか。幸平という一人で出場枠を確保できる人材が一線を退く今、業界、個人の利害関係渦巻く中で、極東の辺境にある島国から、少なくとも3人の選手が共闘し、ポイントを効率的に積み上げて最低でも一つの出場枠を獲得できるのか。そして、その一つの枠を後腐れなくどの選手に渡すのか。
そこに挑むのは、トキ、公平、お遼、平林安里、リキ、功太郎……うらら、璃奈、優夏、あか里……
日本選手が出場枠獲得を目指す空気を作り上げるところから始めないとね。その後の悲喜こもごもは枠を獲得しなきゃ始まらないのだから。
XCOシーズンお疲れ様でした。 来年は、緒戦から問題なく開催できることを切に願っています。
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